2007年01月30日

変わる中学受験地図

asahi.com  公立の選択制・中高一貫も影響
 私立や国立の中学入試が佳境に入った。1都3県で過去最多の5万人余が受験する見込みの首都圏をはじめ、都市部の中学受験熱は高まる一方だ。少子化が進むなか、学校側も受験生を確保しようと、試験科目を減らすなど駆け引きを続ける。学校選択制や中高一貫校など公立側の改革の影響も表れ始めた。4大都市圏の今年の受験戦線を追った。

関西―科目数・日程 駆け引き

 関西では、進学校が集まる京阪神地区で受験者が増加傾向にある。昨年の入試では、この地区の公立小6年生の10人に1人が私立中を受けた計算。首都圏の「ほぼ6人に1人」に次ぐ高さだ。

 今年の入試では、試験科目から社会科を外して「3科目型」(国語、算数、理科)を採り入れる学校が増えた。灘(神戸市)や甲陽学院(兵庫県西宮市)など、以前から3科目型だった有名校に合わせ、優秀な生徒に併願してもらおうという狙いからだ。

 試験の日程も受験生の動向に影響を与えた。

 近畿2府4県は昨年から入試解禁日を統一。もともと大阪と京都、兵庫は同日解禁だったが、特定の人気校への集中を避けて「共存共栄」を目指そうと滋賀、奈良、和歌山も合流した。今年の解禁日は今月20日。初日に入試を構える学校が多く、併願が難しかった。

 恩恵を受けたのが、年明け直後に入試をした岡山県内の二つの有力私立中だ。

 7日に入試があった岡山白陵(岡山県赤磐市)では今年、一昨年に比べて志願者が倍近くに増え、7割を京阪神からの受験者が占めた。昨年から大阪にも試験会場を設けた岡山中(岡山市)も、おととしは655人だった志願者(難関大コース前期)が今年、2倍以上の1514人にはね上がった。

首都圏―公立改革 私立に恩恵

 首都圏では、既に入試が始まった千葉、埼玉両県に続き、2月1日に東京都と神奈川県で解禁される。大手進学塾「四谷大塚」の予測では、私立と国立中の受験者は1都3県で5万1千人に達し、過去最高となる見通しだ。

 中学受験人気を加速させている要因として、公立小中学校で急速に広がる学校選択制と、公立中高一貫校の開校に注目する関係者が多い。「学校を選ぶことが当たり前になり、私立も選択肢に入れる保護者が増えた」「私立を考えなかった層が中高一貫の利点に目を向けた」との指摘だ。

 学校選択制は、東京都では00年度の品川区が皮切り。今年度は中学校で23区のうち19区が、小学校でも14区が選択制をとり、市部でも導入が進む。神奈川県では中学校で7市、小学校では3市が選択制をとっており、千葉県でも九つの市と村で実施している。

 公立中高一貫校は、東京では05年に誕生し、既に5校ある。私立側は当初「生徒を奪われかねない」と警戒したが、昨年の私立と公立の併願は「多くて2割」(森上教育研究所)という。東京私立中学高等学校協会会長で、八雲学園中学高等学校(東京都目黒区)の近藤彰郎校長は「私立にとってプラスになった」と言い切る。

■東海―2番手なら公立へ進学

 愛知県は、進学実績を誇る公立高校が複数ある「公立優位」県だ。東海地方が地盤の進学塾「佐鳴予備校」の担当者は「何が何でも私立という人は少ない」と話す。大半の私立が受験生を増やしているが、成績上位の子は「2番手の私立より公立へ」との志向が強く、有力校に絞る傾向が強まっている。

 名古屋市で進学塾を運営する「名古屋セミナー」の安田龍男理事長も「私立中を4〜5校も併願する例は減っている」と指摘し、「トップ校以外は、学力低下もあって入試が易しくなった。それなら公立に進んで高校受験で頑張ろうという選択でしょう」と話す。

 同じ名古屋市内でも、地域間で中学受験熱に差があるのも特徴の一つ。市南部の区では私立中への進学者が全体の3〜5%なのに対して中心部では年々上昇、20%を超える区もある。

 ただ、公立側は冷静だ。名古屋市内のある市立中校長は「私立の受験者は増えているが、あまり危機感はない」。昨年度から年間の教育計画を書いたチラシを入学説明会などで配っているが、「公立で十分だよ、という意味を込めている」と話す。

■九州―際立つ志願者増

 公立志向が根強い九州でも中学受験熱が高まっている。福岡県では軒並み志願者数が増え、前年から1割増の中学も少なくない。東京や大阪などと比べてこれまで受験率が低かった分、伸びが目立つ。

 筑紫女学園中(福岡市中央区)の志願者数は昨年より100人以上多い836人で、過去10年間で最多だった。「増える予感はあった」という菅原盛之教頭は「景気が上向き、保護者は私学に通った世代。塾通いの子も増えている」。

 福岡大付属大濠中(同)でも前年より49人増の655人が志願した。村上繁教頭は「中高一貫の良さがマスコミで評価されたのが大きい」。ラ・サール学園(鹿児島市)の志願者も107人増の829人になった。

 「教育基本法、全国学力調査の4月実施、いじめ問題など教育や学力に関するニュースが急増した」。地元の大手塾・英進館の中村淳二教務部長は私学人気の背景を分析する。「私学全体の志願者数が底上げされた。公立信仰の転換まではないにせよ、この傾向は来年も続く」
posted by 受験オタク at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 中学受験事情
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