2007年02月08日

塾業界に、ゆとり教育が「神風」

塾業界に、ゆとり教育が「神風」 (朝日 03/03/29)

中学受験、最高の13%
少子化、そしてデフレ不況だというのに、学習・進学塾業界が「V字回復」をみせている。「ゆとり教育」導入で、公立小・中学校に対する親の不安が強まり、私立中志向や補習熱に火がついた。首都圏のこの春の中学受験率は、バブル期を上回って過去最高だ。子の中学受験のために、親は塾に高い授業料をせっせと払う。「ゆとり」どころではない。(澤田歩、森川敬子)

 「合格おめでとう! 御三家 △△△名、早慶付属 □□名……」

 2月の私立中受験期後から3月にかけ、各進学塾は合格者数、右肩上がりの矢印などを派手に記したチラシやダイレクトメールを盛んに出す。

 新年度の生徒募集の宣伝だ。東京の男子なら麻布、開成、武蔵、女子なら桜蔭、女子学院、雙葉。「御三家」と呼ばれるような有名中に合格した生徒が何人いるか、という「実績」がポイントだ。

 「需要」も上がっている。たとえば、東京都内でも進学熱が高いとされる千代田区。区立麹町小では57人の6年生の7割が、番町小では90人の3分の2が、今春の中学受験に挑んだ。

 塾、私立中向けのコンサルタント会社、森上教育研究所(本社・東京)の調査では、首都圏の6年生のうち、私立中を受験した児童の比率(推計値)は、バブル崩壊で92年の12.4%をピークに減り続けていた。だが00年に再び上昇し、03年は過去最高の13.0%に達した。

 98年末に、「ゆとり教育」の名のもとに、公立小・中で教える事柄を02年から3割減らす新学習指導要領が発表されたのが契機だった。大手進学塾は「2002年問題」として、子どもの学力低下を懸念するキャンペーンを展開。メディアもとりあげた。

 進学のために4年生ぐらいから塾に行かせたり、受験目的はなくても、補習塾に行かせたりする親が増えた。

 塾業界には「神風」だった。市場規模は回復=グラフ右上。株式上場している塾・予備校21社の最近4年間の年平均成長率(大和総研調べ)は、売上高4.8%、経常利益8.5%と好調だ。96年から3年間で1万超の中小の塾が閉鎖されたといわれるが、部屋と講師さえそろえば起業できるので、塾全体の数も増えている=図。

 なかでも成長著しいのが、講師1人に対し生徒1〜3人程度の個別指導型の塾だ。先の21社データでは塾、予備校ともに、売上高成長率のトップ3が個別型だ。

 十数人〜30人程度の集団指導塾のように、生徒間の競争意識をかきたてはしない。家庭教師のようなきめ細かい指導が売り物で、個々の学力や目標に合わせて、補習型と進学型に分かれる。

 売上高成長率1位で、全国に「明光義塾」をフランチャイズ展開する明光ネットワークジャパン(本社・東京、ジャスダック上場)は講師1人に生徒3人の補習型。年間授業料が30万円程度と他の個別型大手より安く、昨年1年で生徒数は1万人増え、7万9000人が千を超える教室に通う。

 約140教室をもつ東京個別指導学院(本社・同、東証2部)も補習が中心だ。1対2が基本で年50万円程度。首都圏が軸だが、大阪、名古屋、福岡にも進出しており、斎藤勝己営業部長は「首都圏以外は個別型が浸透しておらず、さらに拡大できる」と話す。

 進学指向が強いのは「TOMAS(トーマス)」を首都圏で展開するリソー教育(本社・同、東証1部)。1対1で年80万円前後と高いが、43教室に8700人が通う。集団型と「ダブル」で通う生徒もいるという。

 岩佐実次(みつぐ)社長は「うちの生徒の9割は集団型から移って来た。おかげで業界内では嫌われ者。でも、お客さんには、他の塾と比較した上で選んでいただいているわけです」と強気だ。

 個別型の活況を目の当たりにして、集団型の大手でも個別コースの併設が相次ぐ。市場調査会社の矢野経済研究所は、塾市場も05年度には9000億円程度まで縮小すると予測するが、個別型のシェアは今後も伸びると見ている。

■デフレ下にかさむ塾代

 「需要」増で、塾の授業料はデフレ知らずの様相だ。

 小学4年から受験準備すると、3年で180万円程度。合格すればしたで、入学時に100万円前後必要になる。私立中に子ども1人を入れるには、年収800万円以上の家庭でないとなかなか厳しい、との見方さえある。

 6年になれば、コマ数が増えるうえ、毎週のテストや夏期講習などを塾側の言うがままに受けると、年間100万円近くかかったりする。

 関東、関西、九州に展開する大手進学塾「日能研」のパンフレットによると、6年生の本科教室(4科目)で、月謝は約2万5000円とある。単純計算で年30万円超。でも、実際に1年間に納める額は85万〜90万円になるという。任意選択の春夏冬の集中講習や、テスト代、特別授業料などが膨らむからだ。

 本科は週3日で70分が9コマ。ほかに、毎日曜のテストとその後の「入試問題研究特別講座」や、土曜の授業後の「特別算数教室」など、希望者だけの授業がある。だが、これら特別授業も、年間のカリキュラム上では「必修」扱い。断らなければ、生徒側は自動的に授業料を取られる。

 他の大手もこうした形態が多い。希望者だけの授業などを断ろうとすると、「本当にいいのですか?」と塾側から念を押されることもある。ついつい、塾代が高く積もっていく構図なのだ。

 森上展安(もりがみ・のぶやす)・森上教育研究所長は、こうみる。

 「かつては、補習では料金をとらないのが普通だった。いまは、どれだけたくさんのオプション(特別授業など)を生徒にとらせるかが、教室長のノルマのようになってしまっている。親は、自分の子どもには本当に何が必要なのかを、見極めた方がいい」

■講師の質など見極めて

 「投資家が注目するような『優良企業』が、必ずしも『優良塾』とは限らない」

 大和総研の風間真二郎アナリストはこう指摘する。経営上の数字を良くするには、たとえば、時給の安い大学生アルバイトを大勢雇えば、人件費を圧縮できるからだ。

 講師の若さを売り物にする塾もあり、大学生講師が一概に悪いとは言えない。だが、集団型であれば、30人の生徒を束ねるには一定の経験も必要になる。

 関西地盤の集団型の進学塾、浜学園(本社・兵庫県西宮市)では、講師が「3軍制」で鍛えられる。研修、試験を経て「1軍」に上がらないと授業は任されない仕組みだ。そのうえ、生徒アンケートで6割の支持がないと、そのクラスから外される。

 進学か補習か。集団か個別か。選べるタイプは広がった。より高い効果をめざすのなら、目的をきちんと定めて、親も授業参観したり、その塾の「卒業生」の親の意見を聞いたり、といった備えが重要、と言われている。
posted by 受験オタク at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 中学受験事情
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